少し遅めのお花見が楽しめるころ。
集合したのはお昼前ですが、季節はずれの大型の低気圧の影響で、
台風直撃を彷彿とさせるような強風と小雨。
こんな天候で春の外ロケはできるのだろうか?
僕は思った。
「春っぽさは無理よね。曇ってるし、風がきつくて髪型も乱れるし」
タクシーで控え室として利用予定のスタジオに向かいます。
1階リフォーム中のスタジオの2階だけを借りてメイクするだけの予定でしたが、
現地に着いてみると意外に日は差し込み、まだ物量も少ないせいか、いわゆる空間的な抜けも期待できます。
町の写真館だったこの場所の自然なビンテージ感もなかなかよい昭和感。
モデルさんも昭和でも問題ないということだったので室内で撮ることにしました。
そしてペディキュアからはじまり、
ヘアメイクさんとモデルさんとのミラー越しの会話になりそうなところで、
僕は席をはずしました。
外に出て、タバコを吸って惚けていましたが、
小雨だった雨がやや強い雨に変わり始めました。
濡れても乾かないぐらいになったので、慌てて部屋のなかに入り、
室内での撮影ポイントを探していると、雨の勢いはいちだんと増し、
古めアルミサッシの窓をあけてみるやいなや、
風圧とあわせて散乱した雨が吹き込みます。
かと思いきや、風の向きによってはまったく雨が入らない。
変な天気の日の特有の現象です。
個人的興味から、窓を開けてときの雨と風や濡れた道路に車が走るノイズと窓を閉めたときの遮断したかのような静寂の差を確認しました。意味はありません。
そして急遽変更プランのまま撮影がはじまりました。
「なんだか、この天気は結果オーライだったのかもしれない」
そう思いはじめたころに撮影が終わり、雨なんぞはすっかり小降りで、スタジオを後にしました。
(タ)